電卓を四則演算(+−×÷)だけで使うのはもったいない!
日商簿記検定3級試験に役立つ電卓の機能をまとめます。また、3級試験のどのような問題を解く際に活用できる機能なのかも合わせて説明します。
※以下の内容は、CASIO製電卓を前提とした解説です。
メモリー機能(M+、 M-、 MR、 MC)
メモリー機能は数字を格納する機能です。数字をディスプレイ上に表示した後に、[M+]を押すと、ディスプレイ上の数値が加算され記録されます。[M-]を押すとディスプレイ上に表示した金額が減算され記録されます。メモリーに数値が入るとディスプレイの上部にMと表記されます。
以下で例を示します。
1.ディスプレイに入力 | 2.メモリーに入力 | 3.メモリー呼び出し | 4.出力結果 | |
---|---|---|---|---|
例1 | 10 | [M+] | [MR] | 10 |
例2 | 10 | [M+][M+] | [MR] | 20 |
例3 | 10 | [M+][M+][M-][M-][M-] | [MR] | -10 |
例1は、ディスプレイに10を入力し[M+]を1度押した場合です。2の作業を終えると、ディスプレイ上部にMと表記されます。メモリーに記録した数字を呼び出すために[MR]を押すと、10とディスプレイに出力されます。
例2は、ディスプレイに10を入力し[M+]を2度押した場合です。[MR]を押すと、20とディスプレイに出力されます。
例3は、ディスプレイに10を入力し[M+]を2度押して、[M-]を3度押した場合です。[MR]を押すと、-10とディスプレイに出力されます。
メモリー上に格納された数値を消すには[MC]を押します。
GT機能(グランドトータル)
[GT]も、メモリーと同様に数字を格納する機能です。数字をディスプレイ上に表示した後に、[=]を押すと、ディスプレイ上の数値が記録されます。GTに数値が記録されるとディスプレイの上部にGTと表記されます。
以下で例を示します。
1.ディスプレイに入力 | 2.GTに入力 | 3.GT呼び出し | 4.出力結果 | |
---|---|---|---|---|
例1 | 10 | [=] | [GT] | 10 |
例2 | 10 | [=][=] | [GT] | 20 |
例1は、ディスプレイに10を入力し[=]を1度押した場合です。2の作業を終えると、ディスプレイ上部にGTと表記されます。GTに記録した数字を呼び出すために[GT]を押すと、10とディスプレイに出力されます。
例2は、ディスプレイに10を入力し[=]を2度押した場合です。[GT]を押すと、20とディスプレイに出力されます。
GT上に格納された数値を消すには[AC]を押します。
ACキーとCキー
[AC]キーはディスプレイ上の数値に加えてGTに格納された数値も消去します。
[C]キーはディスプレイ上の数値のみ消去します。
1.メモリーとGTの値 | 2.消去 | 1.メモリーとGTの値 | |
---|---|---|---|
例1 | M=10、GT=10 | [AC] | M=10 |
例2 | M=10、GT=10 | [C] | M=10、GT=10 |
例1のように、[AC]キーを押してもメモリーに格納された数値は消去されません。
▶キー
[▶]キーは、ディスプレイ上の数値のうち、直前に入力した数値を消去する機能があります。
以下で例を示します。
1.ディスプレイの値 | 2.値消去 | 3.ディスプレイの値 | |
---|---|---|---|
例1 | 156 | [▶] | 15 |
例2 | 17856 | [▶][▶] | 178 |
例1は156という数字をディスプレイに入力したが、6が誤りであった場合です。[▶]キーを押すとディスプレイ上の数値が15になります。
例1は17856という数字をディスプレイに入力したが、56が誤りであった場合です。[▶]キーを2回押すとディスプレイ上の数値が178になります。
入力ミスの訂正に便利な機能です。
日商簿記検定3級での役立ち
以上を踏まえて日商簿記検定のどのような場面で何が使えるかをみていきます。
メモリー機能とGT機能は、試算表、精算表、貸借対照表などの貸借数値を求める際の検算に役立てることができます。貸借対照表を例にすれば、貸借対照表の借方合計額を足し算して、その結果を[M+]を押して、メモリー上に格納します。
その後[AC]を押してディスプレイ上の数値を消去します。今度は貸方の合計を計算し、[=]を押します。[=]を押すと[GT]に格納されます。
最後に[MR]と[GT]を交互に押し、両者の数値が一致していれば貸借合計が等しくなっていることを確認できます。
電卓は正しく使えば、スピードアップ・ミス防止・効率的な検算が可能になります。
簿記3級試験では、こうした機能を使いこなすことで、見直しや確認作業に余裕が生まれます。本番前にぜひ一度、手持ちの電卓で練習してみましょう!
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