東証グロース上場のアライドアーキテクツ株式会社(証券コード:6081)が不適切な会計処理を行っていたことが明らかになりました。
2025年3月7日に公表されたアライドアーキテクツ株式会社調査委員会『調査報告書【公表版】』(以下『調査報告書』)を用いて不適切な会計処理の経緯や手口の詳細をまとめます。
まとめ
- 不適切会計はクロスボーダーカンパニー長のA氏が主導し、売上の前倒計上・架空計上や原価後倒計上や原価の付替など多様な不正が行われた。
- 売上粗利をKPIとする社内予算において、目標達成のプレッシャーがA氏の不正動機を強めた。
- 不正は単発ではなく、複数の手口を組み合わせた計画的・継続的なものであった。
- 全体として、カンパニー制による権限集中、統制環境の弱さ、業績プレッシャーの強さが複合して生じたガバナンス不全の事例である。
不適切会計の震源とカンパニー制
不適切会計は、アライドアーキテクツ株式会社のクロスボーダーカンパニーに従事するカンパニー長によりなされました。
カンパニーは、企業内の複数の事業を独立した会社(カンパニー)として扱うカンパニー制の組織形態を採用する場合に用いられる用語です。
同社がカンパニー制を導入した目的は、各事業における責任・権限を集約した各カンパニーが自立経営を行うことで、事業における意思決定の迅速化を図るためです。
2020年7月から2024年6月まで、プロダクトカンパニー、ソリューションカンパニー、クロスボーダーカンパニーの3つのカンパニーを有しておりました。
クロスボーダーカンパニーはクロスボーダー事業部及び株式会社オセロ事業部(オセロは連結子会社)から成る、中国・香港・台湾向けインバウンド、越境ECプロモーション支援事業を行うカンパニーです。
調査委員会設置の経緯
クロスボーダーカンパニーで発生した売掛金の入金遅延が調査の発端になります。
売掛金の回収可能性を調査する一環で、クロスボーダーカンパニーのカンパニー長であるA氏に説明を求めました。
その結果、A氏はクロスボーダーカンパニーで一定規模の売上を前倒計上していること等を自供しました。
A氏の自供を受け、2024年11月22日以降に社内調査を実施し、売上計上の適否及び計上時期にも不適切な点があることが確認されます。
同社は、不適切な会計処理の全容を解明するために、2024年12月24日開催の取締役会で、同社から独立したメンバーで構成される「アライドアーキテクツ株式会社調査委員会」(以下調査委員会)を設置することが決議されました。
クロスボーダー事業とA氏の沿革
クロスボーダーカンパニー長であるA氏は、クロスボーダー事業の黎明期から大きな役割を果たしました。
20××年、A氏は同社代表取締役社長であるC社長から、新たに海外からの訪日客をターゲットとしたインバウンド事業への進出構想を伝えられます。
A氏は事業企画室に異動し、インバウンド事業を立ち上げます。
A氏はインバウンド事業で様々な試みをしますが、十分な成果や目立った売上を確保するには至りませんでした。
2016年3月、同社は中国××SNSを運営するグループ企業であるX1社と提携交渉を行います。交渉の結果、同社はX1社の日本総代理店となることが決定しました。これにより、同社はX1社を通じ、日本企業が××上のインフルエンサーに商品やサービスの広告を依頼できるサービスを提供することが可能になります。
2017年7月、事業企画室の名称がグローバル事業部に変更になります。
A氏は、グローバル事業部長として、現在のクロスボーダーカンパニーの中核となる事業を開始します。
2020年7月に、A氏はクロスボーダーカンパニー長に就任しました。
カンパニー長の業績評価:社内予算、KPIの売上粗利
同社は、業績予想として社外に開示される対外予算と、カンパニーごとに策定される社内予算を活用しております。
社内予算には、期初予算・修正社内予算・本最低ラインの3種類があります。
3種類の社内予算をまとめると以下のようになります。
| 策定時期 | 策定と報告 | 目的 | 特徴 | |
|---|---|---|---|---|
| (1)期初予算 | 毎年12月頃 | カンパニー長→C社長承認→取締役会 | 年間基本目標の提示 | 四半期ごとの固定値、目標設定の基準 |
| (2)修正社内予算 | 毎月 | カンパニー長→グループ会議 | 実績に即した目標の再設定 | 着地見込みをもとに毎月変動 |
| (3)本最低ライン | 四半期最終月 | カンパニー長とC社長との協議 | 最低限の達成目標値 | 修正社内予算の未達が見込まれる際に設定 |
(1)期初予算
期初予算の策定プロセスは以下のとおりです。
①カンパニー長による案の作成:毎年12月頃、カンパニー長は自カンパニーの月次・四半期・通期の期初予算案を作成し、C社長に提出します。
②C社長による承認:カンパニー長は、期初予算案につき、C社長の承認を受けます。東証グロース市場で一般的に期待される成長率が充足されているかを承認の基準とし、市場動向や事業状況を詳細に検討しません。
③経営合宿における発表:カンパニー長は、C社長が承認した期初予算案を経営合宿で発表します。
④取締役会による承認:取締役会決議において、期初予算案のうち、通期予算を承認します(以下、上記プロセスを経て策定された社内予算のうち、四半期ごとの予算を「期初予算」と呼びます)。
(2)修正社内予算
修正社内予算を作成する目的は期中の実績に合致した目標を設定するためです。
修正社内予算の策定プロセスは以下のとおりです。
①カンパニー長による案の作成:カンパニー長は、前月までの実績及び当月以降の予測を踏まえ、当月が属する四半期の着地見込みに基づく予算案を作成します。カンパニー長は、前月までの実績を踏まえた目標値として修正社内予算案の作成を行います。
②グループ会議における発表:毎月、カンパニー長は、当月が属する四半期の着地見込みに基づく予算案をグループ会議で発表します。グループ会議はC社長、取締役、各カンパニー長が主体となります。
グループ会議では、期初予算又は修正社内予算達成に向けた協議を行います。
同社グループでは、収益性を図るKPIとして売上高から原価広告宣伝費及び外注費を控除し、カンパニー間手数料(カンパニー同士でサービスを提供した場合、提供した側は、提供を受けたカンパニーから手数料を得る)を加除した金額である売上粗利を特に重視していました。カンパニー長は、グループ会議での資料において、翌四半期の売上粗利・営業利益の着地見込み等を記載しており、特に売上粗利の達成率にかかる着地見込みが重視されておりました。
売上粗利の計算は下記のとおりです。数値は架空のものです。
| 売上高 | 2,000 |
| カンパニー間手数料(加除) | △10 |
| 原価広告宣伝費 | △300 |
| 外注費 | △400 |
| 売上粗利 | 1,290 |
当月が属する四半期の着地見込みが、前月に実施されたグループ会議での着地見込みを下回る場合、当該低い着地見込みが当四半期の修正社内予算として取り扱われます。
(3)本最低ライン
本最低ラインは、修正社内予算のうち当四半期の最終月に策定される予算です。
本最低ラインの策定プロセスは以下のとおりです。
①カンパニー長による修正社内予算の未達:各カンパニー長は、修正社内予算達成に向け活動します。しかし、事業を取り巻く環境が厳しい等の理由で、当四半期の最終月において、既にグループ会議で2回発表した修正社内予算を達成できないことがあります。
②C社長と個別協議による確認:上記①の場合、各カンパニー長は、当四半期の最終月に実施されるグループ会議の前後に、C社長と個別に協議します。当該協議において、C社長と当該カンパニー長との間で達成すべき売上粗利の最低水準を相互に確認します。
受注案件フロー:売上計上
不適切会計の手口を理解するために必要な受注案件フローをまとめます。
| ステップ | 内容 | 主担当 | A氏の関与 | 不正のタイミング |
|---|---|---|---|---|
| ①案件の作成 | 顧客の受注見込みを営業管理システムに登録 | 担当者 | A氏が自ら案件を登録 | 売上の架空計上 架空クロス取引(売上) |
| ②見積申請・承認 | 見積作成 → マネジャー承認 → 商材責任者承認 | 担当者・商材責任者 | A氏がすべて自分で実施/商材責任者も兼任 | |
| ③発注 | 承認済み見積に基づき発注書案作成 → 顧客に送付 → 顧客押印受領 | 担当者 | A氏が発注書案の作成・送付・受領をすべて実施 A氏が顧客押印を偽造するケースあり | 売上の前倒計上 売上の架空計上 |
| ④受注申請・承認 | 顧客発注書の内容を営業管理システムに入力し申請 → マネジャー承認 → 財務経理部が販売管理システムへ反映 | 担当者・財務経理部 | A氏が一定程度、受注申請も自ら登録 | |
| ⑤検収 | 顧客に検収依頼メール送信 → 顧客がURLから納品確認押下 → 営業管理システムへ反映 → 販売管理システムへ転記し売上計上 | 担当者・顧客・財務経理部 | A氏が架空メールで検収依頼→自分で納品確認ボタンを操作 | 売上の前倒計上 |
| ⑥請求 | 販売管理システムをもとに財務経理が請求書作成→顧客へ送付 | 財務経理部 | A氏が請求書を一括受領し自ら顧客に送付 |
①案件の作成
顧客から受注見込みがあると、営業管理システムに案件情報を登録します。
※クロスボーダーカンパニーではA氏が自ら登録。
②見積の作成・承認
担当者が売上粗利を踏まえて見積を作成し、マネジャーと商材担当責任者が承認します。
※A氏は見積作成・申請から商材責任者としての承認まで一人で実施。
③発注書の作成・受領
担当者が承認済み内容で発注書案を作成し顧客へ送付し、顧客から押印済み発注書を受領します。
※A氏はこれも単独で実施。
④受注申請・承認
顧客発注書に基づき営業管理システムで受注申請をしマネジャーと財務経理部が内容を確認して承認します。
※A氏自身が受注申請をするケースが多い。
⑤検収(納品確認)
担当者が顧客へ検収依頼メールを送信し、顧客がメールに記載のURLから納品確認をします。
納品確認ボタンが押下されると営業管理システムに反映され、財務経理部が売上計上します。
※A氏は架空メールアドレスを使用し、自ら検収ボタンを押して検収を装っていた。
⑥請求
財務経理部が販売管理システムに基づき請求書を作成します。
※A氏は自身が担当する案件で請求書を一括で受け取り、顧客送付まで自ら実施。
外注案件フロー:原価計上
不適切会計の手口を理解するために必要な外注案件フローをまとめます。
| ステップ | 内容 | 主担当 | A氏の関与 | 不正のタイミング |
|---|---|---|---|---|
| ①見積依頼 | 外注先から見積取得 | 担当者 | A氏が一定程度、自ら見積を取得 | 架空クロス取引(原価・販管費) |
| ②商材登録(原価登録)・外注承認 | 営業管理システムに商材・数量・原価・販売価額を入力。見積承認は受注案件フロー② | 担当者・商材責任者 | A氏が自ら営業管理システムに原価・商材情報を入力 A氏は登録情報の変更が可能であり原価を販管費や他の案件で発生した原価に付け替えた | 原価の販管費計上 原価の後倒計上 |
| ③発注 | 発注書を外注先へ送付。返送された請書をシステム登録 | 担当者 | A氏が発注書作成・送付・請書登録を実施 | |
| ④検収 | 外注先の成果物を確認し検収 | 担当者 | A氏が検収を実施 | |
| ⑤支払申請・承認・支払 | 請求書を添付し支払申請 ①特定の受注案件と紐づく原価の支払 ②特定の受注案件とは紐づかない販管費等の支払 | 担当者 | A氏がシステム入力・申請を実施し、自ら承認権限も保持 |
①見積依頼
担当者が外注先から見積を取得します。
※クロスボーダーカンパニーでは A氏が自ら見積取得を行うことが多かった。
②商材登録(原価登録)・外注承認
営業管理システムに商材・数量・原価などを入力します。原価は見積承認の中でマネジャーと商材責任者が確認します。
※A氏はこれらの情報入力も自身で行っていた。
③発注
発注書を作成し外注先へ送付、返送された請書をシステムに登録します。
※A氏が発注書作成・送付・請書登録を代行していた。
④検収
外注先の納品物を確認します。
※A氏が検収を担当するケースが多かった。
⑤支払申請・承認・支払
受領した請求書をシステムに登録し支払申請します。
承認ルートは案件原価か販管費か、予算内かによって異なります。
※A氏は多くの支払申請を「予算内」として処理し、自身だけの承認で通過させていた。
粉飾の手口と財務諸表への影響額
以降では、粉飾の手口をまとめます。
『調査報告書』では以下の順で説明がされております。
(1)売上の前倒計上事案
(2)原価の販管費計上事案
(3)原価の後倒計上事案
(4)架空クロス取引事案
(5)売上の架空計上事案
(6)連結相殺消去漏れ利用事案
不適切な会計処理は、2020年度第2四半期から2024年度第3四半期までの間に行われました。
不適切会計な会計処理の影響額は下記のとおりです。
| 勘定科目 | 合計 |
|---|---|
| 売上高 | △152,452千円 |
| 売上原価 | 59,683千円 |
| 販管費 | △41,630千円 |
| 営業利益 | △170,505千円 |
ここからは、『調査報告書』での説明の順番を変えて、売上に関する手口、売上原価・販管費に関する手口、連結相殺消去漏れの順でまとめていきます。
売上の前倒計上
A氏は次の3つの方法で売上の前倒計上を実行しておりました。
| 発注書 | 検収手法 | 商材の納品又は役務提供 | |
|---|---|---|---|
| 方法① | 正規取得 | 顧客への協力要請 | 実体あり |
| 方法② | 正規取得 | 架空アドレス | 実体あり |
| 方法③ | 偽造 | 架空アドレス | 実体あり |
3つの方法はすべて取引の実態があります。ただし、正規の受注案件フローによる売上計上に至る前に、前倒しで売上を計上します。
方法①は、顧客から発注を受けた後、商材納品又は役務提供の完了前に、顧客に対して検収承認を要請し、顧客からの検収承認を取得する方法です。
方法②は、顧客から発注を受けた後、営業管理システムの案件作成に際し登録した架空のメールアドレス宛(A氏のメールアドレスはCCに入力)に検収依頼メールを送信し、A氏が自らに送信された検収依頼メールにおける納品確認ボタンを押下することで、顧客からの検収承認を取得したかのような外観を作り出す方法です。
方法③は、発注書の顧客押印欄内の印影を偽造して顧客からの発注を偽装し、上記同様架空のメールアドレスを使用して顧客からの検収承認を取得したかのような外観を作り出す方法です。
売上の架空計上
A氏は、発注書の顧客押印欄の印影を偽造する方法により顧客からの発注を偽装し、架空のメールアドレスを使用して顧客からの検収承認を取得する方法で、売上の架空計上を行いました。
| 発注書 | 検収手法 | 商材の納品又は役務提供 | |
|---|---|---|---|
| 架空計上 | 偽造 | 架空アドレス | 実体なし |
架空クロス取引(売上計上)
A氏は、外部の関係者と共謀の上、営業管理システムで受注処理を行い、共謀先の協力を得て、共謀先から架空取引にかかる発注書を取得し、検収承認を取得する方法で、売上の架空計上を実行しました。
| 発注書 | 検収手法 | 商材の納品又は役務提供 | |
|---|---|---|---|
| 架空計上 | 共謀先へ協力依頼 | 共謀先へ協力依頼 | 実体なし |
原価の販管費計上
A氏は、A案件の原価である外注費を、特定の案件に紐づかない販管費として営業管理システムに登録して支払申請をすることで、原価の販管費計上(原価の販管費への付け替え)を行いました。
| A案件 | 営業管理システムへの登録 | |
|---|---|---|
| 原価の販管費計上 | 外注費 | 販管費 |
①A案件で発注した原価(外注費)と販管費での登録
A案件外注費が発生し、原価登録が営業管理システムに行われた場合、登録済みのA案件外注費をゼロ円に更新又は抹消します。その後、支払申請まで登録を行いません。
A案件外注費が発生したにもかかわらず営業管理システムに登録を行わない場合、支払申請まで何もしません。
②販管費の支払申請
外注先から納品があると、請求書が案件担当者であるA氏に届きます。
A氏は販管費の支払申請に際し、エビデンスとして当該請求書を添付します。財務経理部では、販管費の支払申請にあたり、請求書と営業管理システムの申請内容は確認しますが、何に対する支払かについては精査せず承認していました。そのため、原価であるA案件外注費を原価ではない販管費に付け替えることができました。
原価の後倒計上
A氏は、A案の原価である件外注費を、検収日が後に到来するB案件の原価である外注費(以下B案件外注費)として営業管理システムに登録し、B案件に紐づいた外注費として支払申請をすることで、原価の後倒計上を実行しました。
| A案件 | 営業管理システムへの登録 | |
|---|---|---|
| 原価の後倒計上 | 外注費 | B案件の外注費 |
①外注費の登録等
A案件外注費が発注し、営業管理システムに原価登録を行う場合、登録済みのA案件外注費をゼロ円に更新又は抹消したうえで、当該修正により減少した額を、B案件外注費として原価登録します。
A案件外注費が発生したにも関わらず、営業管理システムに原価登録をしていない場合、B案件外注費として原価登録します。
②支払申請
外注先から請求書が案件担当者であるA氏に届きます。
A氏は原価支払申請に際し、当該支払をB案件と紐づけて申請し、エビデンスとして当該請求書を添付します。財務経理部では、当該外注費がB案件に紐づくか否かを確認せずに承認していました。そのため、A案件外注費をB案件に付け替えることができました。
架空クロス取引(原価又は販管費)
A氏は外部の関係者と共謀の上架空クロス取引(売上高)で計上した金額とほぼ同額を、①正規の顧客に対する架空の原価、又は、②特定の受注案件紐づかないクロスボーダーカンパニーにおける架空の広告宣伝費等の販管費として営業管理システムに登録する方法で、原価又は販管費の架空計上を実行しました。
| 架空クロス取引(売上)案件 | 営業管理システムへの登録 | |
|---|---|---|
| 架空クロス取引(原価又は販管費) | 原価又は販管費の計上を行わない | 正規の顧客に対する架空の原価等(①) クロスボーダーカンパニーにおける特定の受注案件紐づかない架空の販管費(②) |
架空クロス取引(売上)案件の原価とせずに、正規の顧客に対する架空の原価等(①)として計上した理由は、A氏にとって売上粗利の架空計上が主目的であったためです。
正規の顧客に対する原価等の計上については、売上規模の大きい顧客案件を選んでおりました。架空原価を混在しやすくするためです。
クロスボーダーカンパニーにおける特定の受注案件に紐づかない架空の販管費(②)として計上した理由は、財務経理部における社内決裁を回避するためです。
連結相殺消去漏れの利用(売上原価の過少計上)
A氏は、連結子会社であるオセロ社に対する外注費の支払いに関し、当該支払いを要した案件(C案件)の検収完了前に、オセロ社にあえて当社への請求書を発行させ、当該請求書を用いて同社で支払申請を行います。
当該支払いが行われた場合、財務経理担当者が連結相殺処理の誤りを繰り返しておりました。結果として、連結財務諸表上の前渡金の過大計上及び売上原価の過少計上となります。
A氏が不適切会計を行った動機と初期の手口
各手口は、A氏が、本最低ライン達成に向けて感じていた心理的重圧の中で実施されました。
A氏は2020年7月にクロスボーダーカンパニーのカンパニー長に就任しました。カンパニー長は期初予算、修正社内予算、本最低ラインという3種類の社内予算を作成します。
A氏は、2020年第3四半期における期初予算が達成できないことが見込まれたため、2度にわたって社内修正予算に記載する売上粗利を下方修正します。
修正後の目標も達成できないことが見込まれたため、第3四半期最終月に本最低ラインも策定することになりました。
結果的に3度にわたって売上粗利の目標を下方修正することになります。A氏は本最低ラインは確実に達成すると報告しており、これ以上約束を反故にできないと考えます。
しかし、本最低ラインの達成も困難であることが見込まれたため、売上の前倒計上、原価の販管費計上を実行します。ここで、不適切会計に手を染めました。
参考文献
アライドアーキテクツ株式会社調査委員会『調査報告書【公表版】』

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