簿記:会計領域でキャリアを積むための知識

資格

会計と簿記は密接に関係しております。

このブログは会計情報を用いて会社が行うビジネスを読み解くことを目指しておりますが、簿記を学ぶとより深く会社を知ることができます。簿記の知識は会計領域でキャリアを積むための前提にもなります。

簿記とはなにか、簿記の勉強に役立つ資格試験、会計専門家の業務をまとめていきます。

簿記とは

簿記は帳簿記入(book-keeping)から生まれた用語です。

身近な簿記として、おこずかい帳や家計簿があります。お金を使ったら、帳簿に支出額と支出項目(食費、家賃、家具・家電の購入など)を記入します。お金が入ってきたら、帳簿に収入額と収入項目(給料、ボーナスなど)を記入します。

お小遣い帳や家計簿は単式簿記と呼ばれます。現金の収入と支出といったように「現金」の増減だけを記録するので「単式」という用語がついています。

企業が使う簿記は、複式簿記と呼ばれます。複式簿記は、「現金」の増減以外にも、様々な項目の増減記録を行います。例えば、企業が販売するために保有する商品や信用販売を行った結果生じた債権、事業活動に使う備品や建物などです。これらの科目は総称して「資産」と呼びます。

「資産」の増減以外にも、銀行からの借金である借入金や信用によって仕入れた場合の債務といった「負債」の増減、資産から負債を差し引いた差額で表される「純資産」の増減なども記録されます。加えて純資産に含まれる利益剰余金という項目がなぜ増減したのかを「収益」と「費用」という概念を用いて記録します。

このように企業は個人や家計よりも複雑な経済活動を行うので、複式簿記を通じて現金以外の増減も記録していきます。

単式簿記よりも複式簿記の方が情報量が多くなるのですが、複式簿記を使って記録を行う難易度も上がるので、勉強が必要になります。一般に簿記の勉強というのは複式簿記の勉強を指していると考えてください。

簿記の勉強と資格試験

幸いなことに、日本では複式簿記を勉強する環境が整っています。やろうと思えばすぐに簿記の勉強に取り組めます。

書店には簿記の学習教材が並んでいます。簿記を学べる専門学校もありますし、ブログやyoutubeにも簿記を解説している方がたくさんいらっしゃいます。商学部や経営学部や経済学部がある大学生の方であれば簿記や会計に関連する講義が開講されているはずです。

簿記の勉強を支援するのが資格試験です。例えば日本商工会議所が主催している日商簿記検定は、簿記初級、3級、2級、1級などが用意されております。統一試験(ペーパー試験)は年3回実施されております。またネット試験として1級以外であれば常時受験をすることができます。

簿記の資格が難易度ごとに区切られているので簿記検定の取得を通じてステップアップをしていけます。

勉強にもなりますし、資格を取得すれば履歴書にも書けます

簿記の汎用性

簿記は非常に汎用性の高い技術です

簿記はすべての会社で使われます会社法上、貸借対照表及び損益計算書の作成が義務付けられておりますが、これらの資料は複式簿記をベースに作成されます。規模の小さな会社であれば会計資料の作成を会計事務所や税理士事務所に委託しますが、一定規模以上の会社であれば経理部を置いております。経理として働くには複式簿記の理解が前提となります。

金融関係で働く場合も複式簿記(会計)の知識が求められます。例えば、金融機関であれば融資の可否を判断する材料として、融資先企業の財務諸表を読めなければなりません。信用保証の業界で働くなら、保証をするか否かの判断材料に会計情報を使います。

起業を目指す人にとっても複式簿記は大きな力になります。新規のビジネスを立ち上げる際には数値の裏付けが大切になります。どの程度の収益が見込め、費用がどの程度発生するのか、起業の際に資金がどの程度必要で、どこから調達するかなどを計画する際には会計の知識が必須です。

会計専門家の業務

簿記の勉強を通じて、会計領域に興味を持った場合は会計の専門家としてキャリアを目指すのもよいです。

国税専門官や、税理士、会計士など様々な専門家がおります。各自は独占業務の領域を持ち、試験に合格しなければ単独で業務に従事できません。試験の合格と実務経験を積むことで士業としてのキャリアをスタートできます。

国税専門官は、国税調査官、国税徴収官および国税査察官の3種類からなります。国税調査官は納税義務者である個人や会社等を訪れて、適正な申告が行われているかの税務調査などを行います。国税徴収官は、定められた期日までに納付されたない税金の督促や滞納処分などを行います。国税査察官は、裁判官からの許可状を得て、悪質な脱税者に対して捜索・差押等の強制調査などを行います。税務調査・強制調査・差押などは国税専門官の独占業務です。

税理士は、納税者を代理して、確定申告や税務調査の立ち合い、税務署の更正・決定に不服がある場合の申し立てなどを行います。他にも確定申告書や相続申告書等税務署に提出する書類の作成や、税金に関わる相談業務を行います。税務調査の立ち合い、更正の請求、税務署類の作成は税理士の独占業務です。

公認会計士は、監査及び会計の専門家として会社が作成した財務諸表に記載された情報を監査して、情報に信頼性を付与します。監査のうち、大会社の監査(会社法監査)や上場企業の監査(金融商品取引法監査)は会計士の独占業務です。

このように、簿記は日常生活から企業活動、さらには専門職まで幅広く活かせる知識です。はじめは難しく感じるかもしれませんが、一歩ずつ学んでいけば、きっと大きな力になります。ぜひ簿記の世界に足を踏み入れてみてください。

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