㈱タイミーが提供するスキマバイトサービスが注目されるようになりました。スキマバイトサービスについてはいろいろな意見があると思いますが、業績は好調です。
㈱タイミーのビジネスに触れながら、どのように会計数値に反映されるのかを見ていきます。
結論
- ㈱タイミーは働き手へ、雇用主に代わって即時にバイト代を払います。
- 雇用主は、㈱タイミーが立替払いした働き手への報酬と手数料を支払います。
- 働き手が増加するほど立替金が増加していきます。
- 立替えのための資金は金融機関から短期借入金という形で調達しています。
タイミーのビジネス
㈱タイミーはスキマバイトサービス「タイミー」を提供しています。
「タイミー」は有料職業紹介事業として「働きたい時間」と「働いてほしい時間」をマッチングするスキマバイトサービスです。
応募から働くまでの工程削減(履歴書なし・面接なし)や正当な評価(相互レビュー機能)、働いてから入金されるまでの時間短縮(即金性)がサービスの価値につながっています。
働き手(ワーカー)は働きたい案件を選び、履歴書なし・面接なしですぐに働くことができ、勤務終了後すぐに報酬を受け取ることができます。
雇用主(クライアント)は人手不足の解消や繁忙期に合わせてワーカーに働いてもらうことで、人件費を効率化できます。
㈱タイミーはクライアントからの手数料を主な収益源としています。原則としてワーカーに支払う賃金報酬と交通費の合計額(合わせて賃金報酬等)の30%程度を手数料として受け取ります。
㈱タイミーの貸借対照表
㈱タイミーの第8期有価証券報告書(2023/11/01-2024/10/31)をみて、同社のビジネスがどのように財務諸表に反映されているのかを見ていきます。
2024年10月末の資産合計は約265億円、うち現金及び預金120億円と立替金97億円が計上されています。この2科目が資産総額の8割以上を占めています。
貸方を見ると、短期借入金が105億円で、資本金等(資本金、資本剰余金)が71億円、繰越利益剰余金が19億円です。株主資本は合計90億円計上されています。負債と自己資本がおおよそ半々で資金を調達しています。
資産で目立つものが立替金です。立替金はクライアントに対するものです。
同社はワーカーに対して即金で賃金報酬等を支払います。㈱タイミーがクライアントに代わってワーカーに賃金報酬等を支払うので、タイミーの現金及び預金が減少して、クライアントに対する立替金が増加するのです。
その後、クライアントは賃金報酬等に手数料を加えた金額を㈱タイミーに払い込みます。㈱タイミーへの払い込みをもって、立替金が減少して、手数料収入が計上されます。
つまり、同社は事業が拡大するほど立替金が増加していくというビジネスになっています。
実際に年度が進むごとに立替金が増加していることが読みとれます。立替金の増加がそのまま収益の増加につながります。この点は損益計算書で確認します。金額の単位は百万円です。
年度 | 現金及び預金 | 立替金 | 借入金(短期・長期) |
---|---|---|---|
2022年度 | 3,980 | 3,062 | 2,647 |
2023年度 | 7,996 | 6,496 | 7,958 |
2024年度 | 12,238 | 9,747 | 11,265 |
事業拡大のためには、立替金分の現金預金を確保しなくてはなりません。金融機関から短期借入金という形で2023年度は75億円、2024年度は100億円以上を調達しています。
立替金なので、回収ができない可能性もあります。その可能性を見込んで貸倒引当金を計上しますが、金額は7千万程度なので、信用を置けるクライアントのみがタイミーに登録できる仕組みを作っていると考えられます。
㈱タイミーの損益計算書
損益計算書に記載される売上高と最終損益の推移を2018年度から確認します。金額の単位は百万円です。
年度 | 売上高 | 最終損益 |
---|---|---|
2018年度 | 83 | △338 |
2019年度 | 461 | △1,201 |
2020年度 | 1,299 | △1,393 |
2021年度 | 6,216 | 256 |
2022年度 | 16,144 | 1,802 |
2023年度 | 26,880 | 2,797 |
2018年度は第3期の決算であり、創業間もないです。売上高は8千3百万円であり、まだまだタイミーの認知度が低い状態です。最終損益も3億円の赤字です。
2019年度の売上高は4億6千万円程度になりましたが、最終損益は12億円の赤字です。情報限が限られているので推測になりますが、アプリを普及させるために広告宣伝などを行い、費用を先行して計上していることが最終損失増大の理由であると思います。
2021年度でついに最終黒字になりました。
その後は売り上げ規模が急拡大し、最終利益が安定して計上できる状態になっています。
タイミーのアプリは世に浸透しておりますので、何か大きな問題が起きない限りは、今後も増収増益が期待できます。
参考

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