コンビニオーナーの利益が消える理由

事例

日本には様々なコンビニエンスストアがあり、日常の暮らしを支えてくれております。

コンビニエンスストアを運営する本部(フランチャイザー)がどのように儲けているのかをコンビニ会計の面からまとめます。

結論

  • コンビニ本部は加盟店からロイヤリティを受け取ります。
  • ロイヤリティは加盟店の売上高から売上原価を差し引いた売上総利益に対して一定率を乗じて計算されます。
  • 売上原価の中には商品廃棄損が含まれておりません商品廃棄損が加盟店の経営を圧迫するため、加盟店側の利益が減少します。
  • 値引きが自由に行えない、コンビニ本部のドミナント戦略、加盟店が負担する人件費(アルバイト代)の高騰など、様々な要因で加盟店の利益は減少しやすい構造となっています。

フランチャイズ契約

社団法人日本フランチャイズ・チェーン協会では、フランチャイズに関する契約を以下のように定義しています。

「フランチャイズとは、本部(フランチャイザー)と加盟店(フランチャイジー)が契約を結び、加盟金(ロイヤリティ)を支払うことで商標の使用権や販売技術、商品&サービスの販売権を得られるシステムである。」

加盟店(フランチャイジー)は、本部(フランチャイザー)が培ってきた経営のノウハウを活用できます。

一方で、経営のノウハウを受け取る見返りとして、本部(フランチャイザー)に対して加盟金、ロイヤリティを支払わなければなりません。

フランチャイズ方式で店舗が運営されている場合、店舗を経営するのは本部ではなく、本部との間でフランチャイズ契約を結んだ加盟店になります。

コンビニ会計

コンビニエンスストアでのフランチャイズシステムでは、加盟店が本部の指導のもとに商品を販売しています。

加盟店の稼ぎから一定のロイヤリティを受け取ります。したがって、稼ぎをどのように測定するかが、重要になります。

ここではロイヤリティ算定根拠になる計算をコンビニ会計とよびます。

コンビニ会計では、売上高から売上原価を差し引いて売上総利益を計算します。売上総利益に一定率を乗じてロイヤリティを計算します。

一般的な会計処理と同じように思えますが、売上原価には純粋な販売分に相当する仕入れ原価を対応させて、商品廃棄損を販売費に含める点に特徴があります。

例えば原価100円のおにぎりを10個仕入れて1個150円で販売するケースを想定します。おにぎりは8個販売でき、2個は廃棄となりました。なお、ロイヤリティは売上総利益の50%とします。

売上高1,200円
売上原価800円
売上総利益400円
ロイヤリティ(400円×50%)200円
ロイヤリティ控除後利益200円
商品廃棄損(おにぎり2個分の仕入値)200円
加盟店の粗利0円

上記の表のように、ロイヤリティは商品廃棄損を含める前の売上総利益となり、400円×50%の200円となります。

ロイヤリティ控除後の利益は加盟店の利益です。ここから商品廃棄損を差し引き、加盟店の粗利を計算します。

さらに加盟店はコンビニを運営する際にアルバイトを雇ったり、水道光熱費を支払ったり、地代を支払う可能性もあります。

この計算例では、加盟店の利益はほとんど残りません。一方本部は商品廃棄損のリスクを負うことなく、ロイヤリティを収益として計上できます。

これがコンビニ会計です。

コンビニ会計をベースにした様々な本部の収益向上策

コンビニ会計を基にして、本部は様々な自社の利益を向上させる策を取ります。

例えば、商品の欠品を出さないように、加盟店に仕入れを促すことが考えられます。商品廃棄損の多くは加盟店が被るため、本部にとっては在庫リスクがありません

ほかにも、原則として商品の値引きを認めないという施策です。本部の言い分はブランド価値を棄損しないために値引きをしないといえます。

この裏には値引き販売をすると、本部のロイヤリティが下がるということがあります。加盟店であれば、商品廃棄損を出すくらいであれば値引きで販売をしてすこしでも利益を上げたいのですが、これを認めないことが多いです。

さらには、ドミナント戦略というものがあります。これは売れ行きのいい加盟店の近くに別の加盟店を出店させるという戦略です。こうすると1店舗当たりの売上高は減ってしまうので、加盟店は打撃を受けます。

一方、本部は2店舗それぞれからロイヤリティを受け取るので1店舗当たりのロイヤリティが減少しても総額が大きくなれば問題ありません。

このように本部の利益を高める策は、加盟店の利益を高める結果にならないものもあります

結論

ここに書いた内容はすべてのコンビニに当てはまるものではありませんが、本部と加盟店の利益が相反するケースは起こりえます。

フランチャイズ契約を検討する際は、契約書に書かれている内容をよく読み、しっかりと検討をする必要があります。ロイヤリティは何に対してかかるのかという計算式、廃棄損の負担割合、仕入量の実質的な決定権などをしっかり把握する必要があります。

近隣にどの程度同じコンビニチェーンが出店しているかなども確認しましょう。

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